おところお名前年齢をどうぞ (「大倉くんと高橋くん」について)

オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん」というラジオ番組が終わった。

「男2人の週末の反省会」と銘打って、関ジャニ∞大倉忠義さんとアーティストの高橋優さんが2人でグダグダ話す番組。他愛もない話をしているようで、聞いた後になんとなく心が楽になる、そういう風に私を支えてくれたラジオだった。今でもたくさんの深夜ラジオを聞いているけれど、倉橋に対する思い入れは唯一無二だなあと思う。

聴き始めたのは2017年ごろで、まず時間帯がちょうど良かったのと、パーソナリティのことをなんとなく知っていたからで、当時高校生の私の初めての深夜ラジオだった。

何が面白かったって、パーソナリティの2人は、今を時めくアイドルと有名シンガーソングライターで、言うならば「深夜ラジオっぽくない」感じ。人気の深夜ラジオといえばお笑いコンビがゆったり喋る、そんなイメージ。かくいう私も、大倉忠義さんは俳優班でカッコいいよな〜とか、高橋優さんは完全に「福笑い」の印象だった。

なのに、結婚式の友人代表スピーチで関係ないのに泣く人って何なんだ、だとか、カラオケで主導権を握りたがるやつが嫌だとか、30代の大人の男性が2人揃って言っちゃうのだ。番組には「イライラじゃんけん」というお互いをイライラさせるコーナーがあるのだが、それがそういう部分を強く表していた。5大ドームレベルの大人気アイドルなのに「エッチなサイト見るときの広告が3、4回やっても消えないとイライラする」とか言っちゃうし。コーナーを始める時の「自称平和主義者」という名乗りが完全なフリになってしまうのだ。キラキラアイドルの大倉くんとエモーショナルな歌詞を書く高橋優さん、という一面から想像していた私のイメージが崩れて、それはとても衝撃的だったし、でも自分が感じるような生きづらさを発信してくれる人がいるんだと思って嬉しかった。

特に世間への不満が爆発している時の高橋優さんのトークはとても面白かった。聴き始めた頃から最後の最後までずっと変わらずに「なんで久しぶりに会った女子は胸の前でハイタッチするの!?」とかそんなこと気にする?と言われてしまうような視点での不満を言ってくれていた。私は他人の一挙手一投足から心理を推察してしまう頭でっかちな人間なので、何度も高橋優さんのトークに救われた。

「なるべく生放送」だった倉橋の、2人のリアルがしっかり映っている部分も好きだった。日常のほっこりした話で終始する週もあれば、2人の僻みや不満が噴出する週もあるし、世間の流行を的確に指摘して斬るような週もあった。どうしても忙しくてやむなく収録になってしまった回で「2日前も喋ったから話すことないんだけど...」と正直に言っていたのも面白かった。最初は必死にアイドル大倉さんの下ネタを止めていた優くんがどんどん気にしなくなっていったように、時を経て2人の距離感が変わっていったのもすごくリアリティがあった。

また、倉橋には「やっちまった話」をリスナーから募集して電話で話を聞くコーナーがあったのだが、そこでの2人の対応もすごく心に残っている。中学生から社会人まで男女問わず色んなリスナーからの大小様々な「やっちまった」が届くのだが、とても印象に残っているのは中3の女の子による「3股がバレて大変なことになった」という話への2人の対応だ。「え、なんでBくんとも付き合ったの?」という大倉さんの質問に対する「ノリで」という返答がなかなかに衝撃的で、『こんなマセた中学生もいるもんだな〜』と思って聞いていたけれど、大倉忠義さんはずっと真剣に問い詰めて、3股したことへの責任を問うていた。煮え切らない彼女の態度に真剣に怒っていたのを、大倉忠義さんの芯の部分が見えた気がして、よく覚えている。

そういう話に対して「しょうがないなあ」だとか言って角が立たないようにサラッと流すこともできるだろうし、世間からするとそれがスマートな「大人」なのかもしれない。でもそれに真剣に怒るような大倉さんの感受性と素直さが、きっと私やその他たくさんのリスナーが倉橋を聞いていた理由だと思う。

高橋優さんはよく「俺が曲がってるって分かってるんですけどね!」と言っていたけれど、そんなことないと思う。世間の理不尽に対して物申さずにはいられなかったり、1つ1つの出来事やリスナーの「やっちまった」に寄り添っていて、「できた大人」ではなくても、理不尽な世間の中で、2人が誰より繊細で真っ直ぐなのだ。だからこそ人を感動させる歌が書けて、アイドルとしてファンに愛されて、沢山のリスナーがラジオを聞いていた。

いつも、土曜日の11:30に倉橋を聞くと、2人が自分の周りの出来事や世間について真剣に悩んだり笑い飛ばしたりお互いをおちょくったりしていて、それでやっと1週間の疲れがリセットされていた。「毎週土曜の倉橋」が曜日感覚を保っていてくれたし、何より私の深夜ラジオの原体験で、私がなんとなく感じていたのに誰にも共感されなかったような生きづらさを、大事に掬ってくれる倉橋が大好きでした。深夜ラジオ、またエンタメ全般は、しんどい人を掬い上げていくような役割があると思うのだけど、私を掬ってくれた深夜ラジオは「大倉くんと高橋くん」でした。

「STARTING OVER」という高橋優さんの楽曲があって、「おところお名前年齢をどうぞ」という聴き慣れた「やっちまった話」のコーナーのフレーズが歌い出しで、このラジオがテーマになった楽曲になっている。また「BEAUTIFUL」という曲は大倉忠義さんのことを想い、歌詞の中の「君」として書かれた楽曲で、最終回で歌っていた「明け放つ窓」という曲は「大倉くんと高橋くん」の5年間について書き下ろした曲だった。この曲たちを聞くと、高橋優さん(=僕)と大倉忠義さん(=君)と、そして私たちリスナーという関係が浮かぶ。「大倉くんと高橋くん」は終わってしまったけれど、私が救われたあの土曜日の夜を何度だって思い出すことができる。最終回の「またいつか、お元気で!」という2人の言葉を信じて、次の反省会まで頑張らなくちゃいけないなと思うのだ。

 

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